今日のお言葉

小さな会社・個人事業の経営者に伝えたい「7つの提言」3.経営のプロは契約のプロ ①契約とは、契約自由の原則と例外

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契約と聞くと、縁遠いこと、と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、契約は私たちにとって身近で、これから事業を進めていくのに避けて通ることのできない、必須科目です。契約を積極的に学び、契約と仲良く付き合っていきましょう。成功した創業者の経歴を遡ると、契約の力に優れていたシーンが必ず出てくるものです。

身近な例でも「コンビニでおにぎりを買う行為」は契約によって生じた、権利と義務によって成り立っています。代金を支払ったあなたはおにぎりを手にする権利を取得し、代金を受け取ったコンビニはあなたにおにぎりを渡す義務を負うことになります。これは売買契約の成立というわけです。大きな話では、マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツのIBMとの契約が有名です。成功の鍵はIBMにOSを売るのではなく、ライセンス(ソフトウェアの使用権)だけを提供する契約をしたことです。その後OSの権利を保持し続け以後バージョンをアップさせながら販売し続けて、周知の通り今のマイクロソフトの姿があります。

このように契約は社会を潤滑に構成するための血液のような存在であり、ビジネスのシーンでは時に成功を大きく左右する頭脳ともいうべき働きをする存在でもあるのです。さらに契約は、当事者間の合意で成り立つことから、関係が円満にいっているときは問題にならなかったことが、関係の悪化や当事者一方の状況の変化、コロナ禍のような天災級の社会変動に左右されることも考えられます。いずれにしても良きにつけ悪しきにつけ契約の変更や終了、中途での解除したい時が必ず来ることを想定しておくことも大切で、その時になって後悔しないために、最初から契約書の内容をしっかり作成しておくことが、あなたの事業の成功と危機管理上重要となります。

契約については、私人間(企業、事業者を含む)に適用される民法に規定されています。

契約は、民法の「私的自治の原則」に基づき、「契約自由の原則」と呼ばれ、当事者間で自由に決めることが出来ます。方式も自由ですので書面でなく口頭でも行っても契約は成立します。しかも例外はあるものの、契約内容は法律よりも優先されるそうです。私たちの理解としては、「当事者間で取引等のルールを自由に取り決める」のが契約といったイメージになり、だからこそ自分の事業にプラスになる、又は当事者間で互いに不利益にならないなど、各ケースでの契約の内容が重要になってくると心得ましょう。ビル・ゲイツのようにあなたの事業も契約ひとつで、将来が大きく変わってしまうかもしれません。

契約は自由と言っても例外がいくつかあります。ひとつは「公序良俗」で、不倫の契約などは公序良俗違反で無効となります。そして私たちにとってとっても重要な例外が「強行規定」と言われるもので、事業をとりまく法令には多くの「強行規定」が存在します。その目的は弱者保護で、競争力のある者だけが勝つことや、差別が容認される可能性を避けるためにあり、代表的な例は、労働基準法、会社法、下請法、独占禁止法、消費者契約法などに「強行規定」が認められています。なお、「強行規定」か対になる「任意規定」かの判別には、明確な基準がなく、法令の趣旨などによって判断するそうです。労働基準法で言えば、労使間において優位的な会社側(組織)から弱い立場の労働者(個人)を保護するための法令であることが根拠となっているようです。例えば、契約自由の原則だからと言って「当社の規定では残業代は支払いません」などと言った契約は当事者間でたとえ合意しても無効となります。でもここで私には「経営者が優位?」に大きな疑問があります。このことは最後に書き加えます。


*この章のお言葉
契約書は、明確な期待と責任を定義する重要な道具である。
マーク・ザッカーバーグ
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