経営者の仕事は凧あげ
prepo
小さな会社・個人事業の経営者に伝えたい7つの提言
契約について、具体的には契約書を交わす、契約書を作成する際に私たちはどんなところに注意を払っていかなければいけないのでしょうか。
「契約自由の原則」の下、各条項が、法律に従わなければいけない「強行規定」なのか、自由に決められる「任意規定」に該当するのかを判断します。判断には法律的な知識も必要ですが、ネットでいろいろ検索してみればだいたいのところはつかめると思います。
その契約が「強行規定」であれば、どのような法律による制限があるのかよく法律の趣旨を調べて正しく理解しましょう。
「任意規定」であれば「契約自由の原則」に基づき、当事者間でどのような内容で契約しても良いことになっています。その契約は法律よりも優先されることを前提に、あなたに不利にならないよう契約の条文をよく確認する必要があります。決して相手方から提示された条文を、こんなものだろうと鵜吞みにすることなく、疑問点があれば納得のいくまで話し合うことを避けてはいけません。第三者に意見を求めることも必要かもしれません。
(例)あなたが何かのフランチャイズオーナーとして独立を考えているとします。あなたは、フランチャイズ本部と加盟店の契約を結ぶことになりますが、この契約は「強行規定」でしょうか?それとも「任意規定」でしょうか?答えは、「任意規定」です。あなたはメリットばかりでなく、将来のことも慎重にシュミレーションするなど、あなたにとって不利にならないよう契約してください。
私はあるフランチャイズ契約を結び、結果、解約時に納得のいかない、ここでは生々しい詳細は避けますが、いやな思いをした経験があります。契約は法律に優先されます。ましてや人と人の信頼関係など、契約の前ではあっさり何もなかったように消えていくものです。むしろ逆というか、信頼関係はさておき、ビル・ゲイツのように冷静に自分の権利や会社、事業を守るために納得のいく契約を自分で作っていくことを、経営者は当たり前にしていかなければいけません。
さあ、ここからはさらに契約をあなたの武器として、経営に生かしていただく話をしたいと思います。
さきほど「契約とは、当事者間の合意で権利と義務の関係を生じさせるもの」でしたが、このことが私たちビジネスの世界では何を意味しているのか、もう少し理解を深め、実践に活用していただきたいと思います。
そもそも権利とは何でしょうか?権利や権利化と聞くと、特許や著作権などの言葉が浮かびますが、権利化することの意味を、「嘘⇒本当⇒事実」の関係から紐解いていきます。
(例)田中さんは、素晴らしい技術を持った印刷会社を千代田区で経営しています。
では、あなたに質問です。
Q1:田中さんの会社は千代田区にありますか?
あなた:はいあります。・・・嘘ではなく本当、まぎれもない事実
Q2:田中さんの会社の印刷技術は素晴らしいとの噂ですが本当ですか?あなた:私にはわかりません。・・・嘘か本当かどうか不明
私 :特許を取得しているので間違いないですよ。・・・本当の証明=権利化
ご理解いただけましたでしょうか?嘘か本当かわからない見えにくい技術を、特許を取得することで、本当であることが証明され、それは事実となり、そこに高い価値が生まれています。そして取引も競争を優位に進めることが可能になるでしょう。
他にも、レストラン経営において、不確かな「あの店は美味しいよ!」の評価も同様で、噂だけでは嘘か本当かどうかわかりません。でもミシュランの星を取っていたらどうでしょう、権威ある第三者のお墨付きで、噂が事実に、そうです特許取得と同じ効果、本当の証明(権利化)となり、「予約の取れないお店になる可能性」などの価値を手にすることが出来ます。これは先述した「PRによる第三者の評価がブランドを作る」のと同じような構図であり、「権利化=ブランディング」とも言えそうです。
そして「契約」も当事者間に権利が生ずることから、まぎれもなく本当の証明(権利化)になります。
(例)あなたは友人の会社経営者とカフェで雑談をしています。
■経営者・・・
誰か内の従業員に、パソコンを教えてくれないかな?あれ、あなた得意じゃなかった?
●あなた・・・
我流だけどそこそこ使いこなしてきたので、初歩的なレベルで良ければ・・・
■経営者・・・
じゃ、少し内の面倒を見てくれないかな?
●あなた・・・
週に2時間ぐらいで良ければ、時間を割きましょう、金額は・・・
■経営者・・・
了解、とりあえず始めてみてみましょう。
●あなた・・・
わかりました、では「契約書」を作って送るのでサインお願いします。
このように、契約を交わすことで、あなたの形のないパソコンの知識が権利化され、あなたは、友人の社長へパソコンの知識を商品として提供する義務と友人の社長から指導料金を対価としてを受け取る権利を得たことになります。その際、提供するサービスの範囲などもしっかり取り決めるなどして、あなたの意匠を契約が守ることになることも付け加えておきます。
いかがでしょうか、「契約による権利化」はあなたのビジネスの基本ではないでしょうか、経営者にとって「契約」を上手く使いこなせるかはとっても重要な必須科目であることをご理解いただけましたでしょうか。さぁこれから、どんな「契約書」を作ったらよいか、あなたの力の見せどころですね。
*この章のお言葉
契約書は、明確な期待と責任を定義する重要な道具である。
マーク・ザッカーバーグ