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小さな会社・個人事業の経営者に伝えたい7つの提言
破産会社の7割で、社長個人も破産へ 例)創業したての社長さんに、銀行の担当者から電話が入ります。「社長、融資の決裁がおりました。書類をお持ちしますので署名押印をお願いします。」その後、社長さんは、沢山の書類に勢いよくサインしていくわけですが、その中に社長個人が保証人になることを同意する書類が一枚含まれています。でも融資を受けられる安堵感からでしょうか、特に何も思わず作業が進み、書類の文言を事細かく読む事もしません。会社がつぶれたら自分も路頭に迷うことになる、大変な契約をしていることなど、その時は思いもしないものです。銀行の担当者も、そんな大変な契約をしていることなどみじんも説明してくれません。社長さんはこの時、融資と引き換えに、「自己破産へのパスポート」を取得したことになります。 借入の金額がまだ少ない時には返済の算段が付いていて、個人保証への不安はありませんが、自助努力では何ともしがたいコロナ禍のようなことも起きます、小さな会社の経営者は個人保証によって大きな重荷を背負うことになります。そしてパスポートを使う日が来ることも・・・ これは2021年8月、東京商工リサーチの調べによる記事の冒頭の文章です。 会社が破産すると、社長の約7割が個人破産に追い込まれている。政府は経営者保証の解除を進めるが、金融機関からの新規融資の6~7割に経営者保証が付いている。2020年度に破産した5,552社のうち、3,789人の社長が破産開始決定を受け、社長破産率は68.2%の高率に達したことがわかった。 あなたはこの数字をどう受け止めますか?会社が破産すると、社長の約7割が個人破産、パスポートを使用しています。さらに記事では、「個人保証(経営者保証)なし」が進まない状況を分析し、今後「経営者保証なし」を進めるために経営者に求められる点を下記の通りまとめています。 政府は経営者の早期事業再生などを支援するため、「経営者保証に関するガイドライン」を策定し、経営者保証の弊害解消を進めている。金融庁や中小企業庁によると、2020年度に実行された新規融資で経営者保証に依存しない融資は、政府系金融機関が38%(2017年度34%)、民間金融機関は27.2%(同16.5%)にとどまり、いまでも新規融資の6~7割では代表者の個人保証が条件になっている。これまでの担保や個人保証に依存した貸出で、「経営者保証なし」では資金調達が難しく、必要な借入額を調達できないことが多い。金融機関は債権保全リスクを前提に、保証が厚いほど多くの資金融資が可能だ。一方、社長は借入負担は増しても、必要額を調達できるメリットは大きく、経営者保証の解除に向けた取り組みのバランスは難しい。経営者保証を減らすには、金融機関の努力だけでなく、社長も会社の財務健全性や将来価値を高め、社長個人と会社の資金の流れを厳格に区分することが求められる。ただ、長引くコロナ禍で過剰債務に陥った企業も増えており、今後はさらに社長の破産率が上昇することも危惧される。 この現状に対して国(経済産業省)は経営者保証に関する支援策として、上記記事にあった「経営者保証に関するガイドライン」以降、関連施策を進めているようです。 *2013年12月:経営者保証に関するガイドライン 中小企業庁HP *2022年12月:経営者保証改革プログラム 経済産業省HP *2024年3月:スタートアップ創出促進保証 中小企業庁HP *2024年3月:保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度 中小企業庁HP 「小さな会社・個人事業の経営者に伝えたい7つの提言」は 次回「6.個人保証は自己破産のパスポート ②事業展開のシュミレーション」につづく *この章のお言葉 失敗することを恐れるよりも、真剣でないことを恐れたい。 松下幸之助