小さな会社・個人事業の経営者に伝えたい「7つの提言」
PrePoの小さな会社・個人事業の経営者支援は「7つの提言」をベースとしてあなたのご要望や状況に合わて提供します。各提言の内容が、そのままサポートメニューになるとお考え下さい。
1.何が何でもブランディング
マーケティングの目的は、販売を不必要にすることだ。
ピーター・ドラッカー
事業とはブランド作りそのもの
ブランディングとは、一言で言えば「お客様の心にどのように映るか」を計画し、形作るプロセスです。実際、事業運営においてブランディングは最も重要な要素の一つです。なぜなら、ブランディングはあなたの製品やサービスの価値を消費者へ伝え、お客様に選ばれる理由を作り出すからです。
例えば、あるカフェが同じコーヒーを提供していても、A店は「リラックスできる空間」を売りにし、B店は「速いサービスと利便性」を強調します。これにより、両者のブランディングは異なり、それぞれ異なる顧客層にアピールすることになります。このように、どのようにして他者と差別化し、自分たちの価値を最大限に引き出すかがブランディングの核心です。
ブランディングはロゴやスローガンだけではありません。ウェブサイトのデザイン、ソーシャルメディアの発信内容、顧客対応のスタイル、さらには日頃のあなた自身や従業員の行動に至るまで、すべてがブランドを形成します。これらの要素が一貫していることで、顧客は信頼感を抱き、長期的な良好な関係を築くことができるのです。
また、ブランドは単なるビジネスの顔ではなく、事業の核となるあなたの信念やミッションを反映しています。強いブランドを持つ企業は、自社の価値観を明確にし、それを顧客と共有することで、より深い共感と信頼を得ることができます。
あなたの事業そのものがブランディングであり、その成功はブランディングの成功にかかっていると言えます。私たちの支援を通じて、あなたのビジネスが独自のブランドを築き上げ、より多くのお客様に愛される存在になることを目指しています。
ブランドは広告では作れない
ブブランドを構築するためには、まず市場の信頼を勝ち得ることが不可欠です。そして、その信頼は広告だけでは生み出せません。最初にPR(パブリックリレーションズ)などによって第三者の信頼を得ることが重要です。
PRとは、企業と顧客、社会全体との信頼関係を築く活動です。例えば、地域社会への貢献活動やメディアでのインタビューを通じて、企業の価値観や取り組みが広まります。また、SNSやホームページの活用の仕方をPR寄りにすることで、小さな会社や個人事業の信頼性が確立されます。
反対に、信頼を築く前に広告に走ると、誤ったメッセージが伝わり、顧客の信頼を失うリスクが高まります。広告は広範にメッセージを伝える力がありますが、PRは時間をかけて信頼を築く力があります。順序としては、まずPRで信頼を築き、その後広告を活用することで、強固で持続可能なブランドを作り上げることができるのです。
商品を売るための活動(=マーケティング戦略)を考えるとき、ブランディングはその中核をなし、特に持続的な効果を得るためには、まずはブランディングをしっかり固めてから進めていくことがセオリーとなります。
しかし経営者はできるだけ早くできれば最初から利益を求めるために、ブランディングの順番「PR⇒広告」が時に崩れてしまがちです。
私もそうでしたが、目先の利益を追うがばりに、ブランディングを怠り、尖った企画や広告で客を集めようとして、結果黒字化が遅れてしまうこを何度も経験しました。
これから出会うあなたには、事業の現在位置を踏まえ、今これからのマーケティング戦略を持っていただき、ブランディングをしっかり構築していくことをお勧めします。
一定のブランド力が付くと、リスクを回避したり、非生産的な業務の軽減にも資するなど、事業推進に効く万能薬の働きも期待されます。
PrePoは、経営者にとってもっと重要な仕事は、「何にが何でもブランディング」と心得ていただきたいと提言します。
私が間近で見てきた好事例をご紹介します。
個人事業ですが、物作りで生きて行く方にはとても参考になると思います。
「好き」を響感へ、スモールビジネスの進め方
2.イエスの環境を築こう
非難は愚者でもできる、理解は賢者しかできない。
デール・カーネギー
あなたのエンゲージメント大丈夫
あなたのエンゲージメントは今どんな状況でしょうか?現在、日本のエンゲージメントは大変なことになっています。従業員の仕事への熱意や職場への愛着を示す「エンゲージメント率」は、世界でも最低水準だそうです。ここで言う「従業員エンゲージメント」とは、企業(社長)と従業員との確固たる信頼関係を意味し、従業員は企業(社長)に貢献することを約束し、企業(社長)はその貢献に報いることを約束する関係も指します。
※参考:PRESIDENT OnLine 田中道昭氏述
なぜ日本人は「仕事への熱意」が145カ国で最下位なのか・・・日本人の「生産性」を高めるために必要なこと
経営者にとっては、足元の「働き方改革」「コロナ禍」「賃上げ圧力」「〇〇年問題」「コンプライアンス」等々への対応で、従業員との関係において難しい状況が続いています。これからの時代、小さな会社の社長や個人事業の経営者にとっても、エンゲージメントの適切なハンドリングは避けて通れない課題です。
では、私たちはこの「エンゲージメント」という課題にどのように取り組んでいったらよいのか、具体的な例を少し挙げて考えてみましょう。
セイムページ見てますか?
セイムページとは、チームワークの良さを象徴する「みんなで同じ絵を見ていた」という意味の言葉です。例えば、日本ラグビーの躍進のキーワードにもなりました。Japanのメンバーは勝利を振り返り、「あの時は、みんながセイムページを見ていました」と語ります。厳しい合宿を共に過ごすことで、メンバー間には絆が生まれ、一体感からあうんの呼吸が生まれます。大切な試合のここ一番で、皆で「同じトライの絵」を共有し、セイムページを見ることで勝利を勝ち取り、自信と誇り、達成感を感じたのです。
ビジネスの世界でも、あなたのチームのメンバーが同じ方向を向き、「事業の目指す絵」を共有できる環境を作ることが理想です。セイムページへの意識は、高いエンゲージメント率を得ることであり、共に戦うメンバーが集まる事業のプラットフォームを築くことにつながります。特に重要なポイントは、「経営判断のタイミングとエンゲージメントの関係」です。組織のエンゲージメントを把握し、バランス良く事業を管理することが必要です。
小さな会社の経営者は独断で判断しがちですが、経営者の勢いだけでは危険です。エンゲージメントを意識した判断は、時に慎重になることもありますが、それは遠回りではありません。エンゲージメントは表面上だけでは測れないため、第三者の目を入れて客観的に行うことをお勧めします。また、エンゲージメントに関する業務はトップ一人で行うものではなく、従業員が主体となるボトムアップやエンパワーメント、社内ルール作りや雇用契約の見直しなど、組織全体で取り組むものです。
私はこのエンゲージメントに対する意識が足りなかったことで痛い目に合いました。また逆に経営支援の立場で、エンゲージメントを良い方向へコントロールできたことで予想を超える結果を得たことも目の当たりにしてきました。そんな経験から掴んだコツが、この章のタイトル「イエスの環境」です。
イエスの環境とは
「イエスの環境」という言葉は一般的に通じるものではないかもしれませんが、私は普段よく使うフレーズです。それは、人の心理や人間関係の話であり、その環境に身を置くことで、あなたの事業が成功へと、川の流れのように自然と導かれて行く、魔法がかかったかのような心地の良い状態を作ることになります。
では、PrePoの唱える「イエスの環境」がどんなものか、具体的にイメージしていただけるよう、3つの例を紹介しましょう。この手の話は意識していると結構身近にありますので、あなたが自身に置き換えて考え、「イエスの環境」を手にするためのヒントにしていただければと考えます。
episode1
東京スカパラダイスオーケストラ
結成35周年を迎えた、東京スカパラダイスオーケストラ、2024年4月19日(金)NHK『あさイチ』にメンバー9人で出演した時の一コマから
Q:大所帯で普段喧嘩とかはないのですか?長年続けてこられたきた秘訣は何ですか?
A:喧嘩とかはないですね、メンバーの誰かが「こうしたらどうか・・・」と言って来たら、まずはみんなでやってみるんです、そしたら良いか悪いか分かるじゃないですか、仮に良くなくても言った本人もみんなでやってみれば納得すると思うんですよね・・・
音楽の世界でリーダーもおかずに35年間続けてこられたコツが垣間見れました。
episode2
横浜DeNAベイスターズ 筒香嘉智
メジャーリーグに挑戦した日本の4番打者は、成績が振るわず2024年アメリカでの契約先を失い、日本のプロ野球に復帰を決断、読売ジャイアンツへかと騒がれましたが、結局は古巣ベイスターズに帰ってきました。
5月11日(土)阪神戦のTV中継、解説はメジャー経験もある藤川球児さん、打順が回った筒香に「彼は、日本に帰ってきて、応援されている中でプレーすることの幸せを感じていると思います。メジャーではそれがなかったと思います・・・」
筒香はその日8回に回ってきた打席で見事特大のホームランを放ち、大逆転となった劇的なゲームの主役に、そしてヒーローインタビューで、思いをかみしめながらファンに「皆さんの声援のおかげで打てました」と感謝を述べました。
episode3
ル・ゴロワ フラノ シェフとマダム
2人は東京で20年続いた「北海道フレンチ」と呼ばれ著名人も通うレストランを閉め、北海道富良野へ移住、紆余曲折を経て常連客でもあった、脚本家・倉本聰さんのプロデュースのもと「新富良野プリンスホテル」敷地内にル・ゴロワ フラノを2016年にオープン。NHK『北の大地の物語 富良野 シェフとマダムの物語』の中でこんな一コマが、
マダム:今日のこのお客様はこういうものが好きだからこういうふうに作って「味つけはこういうふうにして」って強要するんですね、私がお客様の代弁者ですから、でもシェフはすぐに変えてくれるんですよ
シェフ:それが調理場の役目ですから、可能な限りはノーはない
倉本さん:ここはね、奥さんとのコンビですよ、奥さんの力がすごい、あそこまでパーフェクトなママっていない、実に柔らかいし飯もうまくなりますよね。
いかがでしょうか、「イエスの環境」なんとなくイメージできましたでしょうか?エンゲージメントをより良く高めていくためには、この3つの例のようなイエスの環境が必要だと思いませんか?これからの会社には「共感型の自走式組織」をと元スターバックスコーヒージャパンのCEOが提言していらっしゃいましたが、その通りだと思います。
あなたに合った「イエスの環境作り」を、まずは、あなたのチームの「セイムページ」にしてみてはいかがでしょうか。
PrePoもお手伝いさせていただきます。
3.経営のプロは契約のプロ
契約書は、明確な期待と責任を定義する重要な道具である。
マーク・ザッカーバーグ
契約とは、契約自由の原則と例外
契約と聞くと、縁遠いこと、と感じる方もいらっしゃるかと思いますが、契約は私たちにとって身近で、事業を進めていくのに避けて通ることのできない、必須科目です。契約を積極的に学び、契約と仲良く付き合っていきましょう。成功した創業者の経歴を遡ると、契約の力に優れていたシーンが必ず出てくるものです。
身近な例でも「コンビニでおにぎりを買う行為」は契約によって生じた、権利と義務によって成り立っています。代金を支払ったあなたはおにぎりを手にする権利を取得し、代金を受け取ったコンビニはあなたにおにぎりを渡す義務を負うことになります。これは売買契約の成立というわけです。大きな話では、マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツのIBMとの契約が有名です。成功の鍵はIBMにOSを売るのではなく、ライセンス(ソフトウェアの使用権)だけを提供する契約をしたことです。その後OSの権利を保持し続け以後バージョンをアップさせながら販売し続けて、周知の通り今のマイクロソフトの姿があります。
このように契約は社会を潤滑に構成するための血液のような存在であり、ビジネスのシーンでは時に成功を大きく左右する頭脳ともいうべき働きをする存在でもあるのです。さらに契約は、当事者間の合意で成り立つことから、関係が円満にいっているときは問題にならなかったことが、関係の悪化や当事者一方の状況の変化、コロナ禍のような天災級の社会変動に左右されることも考えられます。いずれにしても良きにつけ悪しきにつけ契約の変更や終了、中途での解除したい時が必ず来ることを想定しておくことも大切で、その時になって後悔しないために、最初から契約書の内容をしっかり作成しておくことが、あなたの事業の成功と危機管理上重要となります。
契約については、私人間(企業、事業者を含む)に適用される民法に規定されています。
契約は、民法の「私的自治の原則」に基づき、「契約自由の原則」と呼ばれ、当事者間で自由に決めることが出来ます。方式も自由ですので書面でなく口頭でも行っても契約は成立します。しかも例外はあるものの、契約内容は法律よりも優先されるそうです。私たちの理解としては、「当事者間で取引等のルールを自由に取り決める」のが契約といったイメージになり、だからこそ自分の事業にプラスになる、又は当事者間で互いに不利益にならないなど、各ケースでの契約の内容が重要になってくると心得ましょう。ビル・ゲイツのようにあなたの事業も契約ひとつで、将来が大きく変わってしまうかもしれません。
契約は自由と言っても例外がいくつかあります。ひとつは「公序良俗」で、不倫の契約などは公序良俗違反で無効となります。そして私たちにとってとっても重要な例外が「強行規定」と言われるもので、事業をとりまく法令には多くの「強行規定」が存在します。その目的は弱者保護で、競争力のある者だけが勝つことや、差別が容認される可能性を避けるためにあり、代表的な例は、労働基準法、会社法、下請法、独占禁止法、消費者契約法などに「強行規定」が認められています。なお「強行規定」か、対になる「任意規定」かの判別には、明確な基準がなく、法令の趣旨などによって判断するそうです。労働基準法で言えば、労使間において優位的な会社側(組織)から弱い立場の労働者(個人)を保護するための法令であることが根拠となっているようです。例えば、契約自由の原則だからと言って「当社の規定では残業代は支払いません」などと言った契約は当事者間でたとえ合意しても無効となります。
でもここで私には「経営者が優位?」に大きな疑問があります。このことは最後に書き加えます。
契約書は自分で作る武器
契約について、具体的には契約書を交わす、契約書を作成する際に私たちはどんなところに注意を払っていかなければいけないのでしょうか。
「契約自由の原則」の下、各条項が、法律に従わなければいけない「強行規定」なのか、自由に決められる「任意規定」に該当するのかを判断します。判断には法律的な知識も必要ですが、ネットでいろいろ検索してみればだいたいのところはつかめると思います。
その契約が「強行規定」であれば、どのような法律による制限があるのかよく法律の趣旨を調べて正しく理解しましょう。
「任意規定」であれば「契約自由の原則」に基づき、当事者間でどのような内容で契約しても良いことになっています。その契約は法律よりも優先されることを前提に、あなたに不利にならないよう契約の条文をよく確認する必要があります。決して相手方から提示された条文を、こんなものだろうと鵜吞みにすることなく、疑問点があれば納得のいくまで話し合うことを避けてはいけません。第三者に意見を求めることも必要かもしれません。
(例)あなたが何かのフランチャイズオーナーとして独立を考えているとします。あなたは、フランチャイズ本部と加盟店の契約を結ぶことになりますが、この契約は「強行規定」でしょうか?それとも「任意規定」でしょうか?答えは、「任意規定」です。あなたはメリットばかりでなく、将来のことも慎重にシュミレーションするなど、あなたにとって不利にならないよう契約してください。
私はあるフランチャイズ契約を結び、結果、解約時に納得のいかない、ここでは生々しい詳細は避けますが、いやな思いをした経験があります。契約は法律に優先されます。ましてや人と人の信頼関係など、契約の前ではあっさり何もなかったように消えていくものです。むしろ逆というか、信頼関係はさておき、ビル・ゲイツのように冷静に自分の権利や会社、事業を守るために納得のいく契約を自分で作っていくことを、経営者は当たり前にしていかなければいけません。
さあ、ここからはさらに契約をあなたの武器として、経営に生かしていただく話をしたいと思います。
さきほど「契約とは、当事者間の合意で権利と義務の関係を生じさせるもの」でしたが、このことが私たちビジネスの世界では何を意味しているのか、もう少し理解を深め、実践に活用していただきたいと思います。
そもそも権利とは何でしょうか?権利や権利化と聞くと、特許や著作権などの言葉が浮かびますが、権利化することの意味を、「嘘⇒本当⇒事実」の関係から紐解いていきます。
(例)田中さんは、素晴らしい技術を持った印刷会社を千代田区で経営しています。
では、あなたに質問です。
Q1:田中さんの会社は千代田区にありますか?
あなた:はいあります。・・・嘘ではなく本当、まぎれもない事実
Q2:田中さんの会社の印刷技術は素晴らしいとの噂ですが本当ですか?あなた:私にはわかりません。・・・嘘か本当かどうか不明
私 :特許を取得しているので間違いないですよ。・・・本当の証明=権利化
ご理解いただけましたでしょうか?嘘か本当かわからない見えにくい技術を、特許を取得することで、本当であることが証明され、それは事実となり、そこに高い価値が生まれています。そして取引も競争を優位に進めることが可能になるでしょう。
他にも、レストラン経営において、不確かな「あの店は美味しいよ!」の評価も同様で、噂だけでは嘘か本当かどうかわかりません。でもミシュランの星を取っていたらどうでしょう、権威ある第三者のお墨付きで、噂が事実に、そうです特許取得と同じ効果、本当の証明(権利化)となり、「予約の取れないお店になる可能性」などの価値を手にすることが出来ます。これは先述した「PRによる第三者の評価がブランドを作る」のと同じような構図であり、「権利化=ブランディング」とも言えそうです。
そして「契約」も当事者間に権利が生ずることから、まぎれもなく本当の証明(権利化)になります。
(例)あなたは友人の会社経営者とカフェで雑談をしています。
■経営者・・・
誰か内の従業員に、パソコンを教えてくれないかな?あれ、あなた得意じゃなかった?
●あなた・・・
我流だけどそこそこ使いこなしてきたので、初歩的なレベルで良ければ・・・
■経営者・・・
じゃ、少し内の面倒を見てくれないかな?
●あなた・・・
週に2時間ぐらいで良ければ、時間を割きましょう、金額は・・・
■経営者・・・
了解、とりあえず始めてみてみましょう。
●あなた・・・
わかりました、では「契約書」を作って送るのでサインお願いします。
このように、契約を交わすことで、あなたの形のないパソコンの知識が権利化され、あなたは、友人の社長へパソコンの知識を商品として提供する義務と友人の社長から指導料金を対価としてを受け取る権利を得たことになります。その際、提供するサービスの範囲などもしっかり取り決めるなどして、あなたの意匠を契約が守ることになることも付け加えておきます。
いかがでしょうか、「契約による権利化」はあなたのビジネスの基本ではないでしょうか、経営者にとって「契約」を上手く使いこなせるかはとっても重要な必須科目であることをご理解いただけましたでしょうか。さぁこれから、どんな「契約書」を作ったらよいか、あなたの力の見せどころですね。
契約のプロが作る就業規則
あなたのビジネスは、あなた一人で行うもですか?それとも従業を雇って進めていかれる事業でしょうか?
先程の私の大きな疑問、経営者は「優位的な立場?」への考察です。
私はこれまで、経営者として従業員に対して優位的な立場にいるといった実感がありません。むしろその逆で弱い立場にいるとさえ感じてきました。ここ数年は働き方改革、最低賃金のアップや〇〇年問題と、生産性は横において一方的に経営者に負担を強いる事ばかりに感じます。これからの小さな会社は従業員をできるだけ採用しないと方向へ向かっていくと思います。その上で採用した従業員との間で交わす、強行規定下の就業規則、雇用契約書、労働条件通知書や人事評価制度等の社内規定などをどう整えていくかが問われます。
ここからは、あくまでも私見ですが、あなたの事業ですから、あなた自身が「自分がルールブックだ」の気持ちで、一旦強行規定のことは忘れて、諸制度(契約書)を考えていただくことをお勧めします。経営者に優位性があるとしたら、あなたが諸制度(契約書)を作れると言うことです。世の中の風を逆風と思わず、あなたの事業を上昇するための向かい風ととらえ、従業員との関係を建設的に、あなたからこうしたい、こうして欲しいと思うことを、しっかり文章にすることだと思います。
例えば就業規則に、あなたの「創業の理念」を書き加えることは、自由です。あなたの考えに共感できる人があなたの従業員です。あなたは契約のプロですから、契約であなたの経営者としての立場を権利化してください。「経営のプロは契約のプロ」権利化は経営者が事業の成功のために行わなくてはいけない必須科目です。PrePoも契約と一緒にあなたをしっかり応援していきたいと思います。
だいぶ力が入ってしまいましたが。経営も年月が経つと事業環境も変化しスタッフも入れ替わていくものです。その中でもあなたの思いや考えがいつでも周囲に正確に伝わっていることが大切です。「経営のプロは契約のプロ」、日常のあらゆるシーンで契約のプロ意識をもっていただきたいものです。私のように痛い目に合わないためにも・・・
4.成功の鍵は数値目標の達成
経営とは数字に基づくものであり、数字に基づかない管理は迷信である。
エドワーズ・デミング
数字に強くなれ!
あなたは、日頃の事業運営に、どの程度数値目標を使っていますか。スタッフがいれば、ミーティングで、今月の売上目標は、来店者数はと、いくつかの数値を掲げて話をされているのでは・・・エクセルで作った表や、グラフなどを示して、事業の現状をスタッフと共有したり、出てきた数値から改善点を見い出し、対策を話し合う材料にしていると思います。その表は、あなたご自身で作っていますか、それとも会計システムなどから出してきたものでしょうか。
私はサラリーマン時代から、担当する部門のコンセプトをレジュメにまとめ、数値目標を裏付ける資料を作成するなど、上への起案のためや、現場スタッフが日常業務で心掛けなければいけない目標を分かりやすく理解できるよう提示することに熱心に取り組んでいました。私の作成したペーパーは社内でも、その出来栄えはけっこう評価が高かったと思います。
会社を創業した時も初月から、エクセルを駆使した自作の営業日報で、日時決算ができるよう工夫し現場で重要な数字が日々把握できるようにしてきました。顧問契約をした会計事務所の税理士さんからも、他の関与先と比べて私の事務能力の高さを褒めていただいたものです。
私が始めたのは飲食店事業。「開業から3年以内に70%、5年で80%、10年では90%以上が廃業する」と言われている業界です。約20年間続けてこれたのは、ベースに自分で構築した数値管理システムがあったからではと振り返ります。
自慢話はここまで、私はこの数値目標の取り扱い方法に関して、大きく反省しているところがあり、この反省点は、これから出会うあなたに、しっかりお伝えしていきたいと思います。
そもそも経営者は「数字に強くなければいけない」とよく言われますが、その理由はなぜでしょうか?
ここでは、ChatGPTに聞いてみました・・・答えは、
経営者が「数字に強くなければいけない」と言われる理由は、数字がビジネスの健康状態やパフォーマンスを正確に示す指標だからです。以下に具体的な理由をいくつか挙げます。
1.意思決定の根拠::数字は、経営判断を行う際の重要な根拠となります。売上、利益、コスト、キャッシュフローなどの数字を正確に把握することで、将来の計画や戦略を立てる際の判断がより正確になります。
2.パフォーマンスの測定:数字を通じて、会社のパフォーマンスを定量的に評価することができます。例えば、売上の増減や利益率の変化を追跡することで、ビジネスが目標に向かって順調に進んでいるかどうかを確認できます。
3.リスク管理:数字を理解することで、財務リスクを早期に特定し、適切な対策を講じることができます。例えば、キャッシュフローが悪化している場合、適切な資金繰り対策を迅速に行う必要があります。
4.投資家・取引先との信頼関係:数字に基づく明確な説明ができる経営者は、投資家や取引先からの信頼を得やすくなります。経営状況や将来の見通しを数字で説明できることは、企業の信頼性を高める要因となります。
5.改善のための指針:数字は、改善のための具体的な指針を示してくれます。どの部分が弱点で、どの部分を強化するべきかを数字で明らかにすることで、効果的な改善策を実行できます。
これらの理由から、経営者が数字に強くなることは、企業の成功にとって非常に重要です。
AIさんの回答で、数字に強くなることの意味がよく分かりました。しかし私たちの課題はその先にあります。どのように「数値目標」を設定して、どうしたら「数値目標」を達成できのるか、と言うところです。
最重要プロセスの数値目標
ここからは、リアルな私の話(大きな反省)にお付き合いください。
私の経営していた飲食店は、2011年の東日本大震災の後、業績は毎年右肩上がりで、2019年には、一店舗での売上が8千万円に達していました。席数は60、週末や繁忙期に「密」を作ることで利益を出す業態で、田舎町のお店としてはまずまずの繁盛店だと思います。
(コロナ禍前)
私は日頃からスタッフに「目の前のお客様を満足させよう」と言い続けてきました。それがリピーターを得るための最高の顧客管理であり、コツは料理の原価率を教科書(A)で言われているよりも高めの数字でOKとすることです。このバランス(B)によって結果、客数増と大きな粗利益を確保できるとするコンセプトです。最重要プロセスとそれを実現するための数値目標を設定し下記のような試算を基に運営していました。
*最重要プロセス ⇒ 料理のお得感を出す
*数値目標 ⇒ 原価率33%
(A)客数100人×単価4,000円=売上400,000円×原価率30%⇒粗利280,000円
(B)客数120人×単価4,000円=売上480,000円×原価率33%=粗利321,600円
これが、開店以来築いてきた、当店の利益を出す成功の鍵で、私(経営者)と現場スタッフの間で共有して実行してきました。
そこにあのコロナ禍がやってきて、経営環境は一変します。
営業時間は制限され、お客様は蜜を避けどんどん足が遠退いていきます。慌てて始めた、テイクアウトやランチ営業は全く話になりません。常に前年同月を上回ることを目標としていた数字は下がる一方です。
それでも私は、ある程度売上が落ちても教科書的にFLコスト(「F=Food」は食材費(材料費)、「L=Labor」は人件費)を適正な%にコントロール出来れば、儲からないまでも維持は十分にできると考えていました。
ここで私の事務能力の出番です。過去数年からのFLコスト比率の推移等を、現場スタッフが改善点を理解できるように、仕入れルート別に加工するなどして「今はこれだけの売上しか見込めないのだから」と、改めて目先の具体的な数値目標を提示しました。
(コロナ禍中)
様々な理由からお店はできる限り開け続けることを決定。宴会が減るなどの致し方ない状況に合わせ、最重要プロセスと数値目標を微調整し、試算は下記のようにしました。
*最重要プロセス ⇒ 今来て下さるお客様を大切にする
*目標数値 ⇒ 料理の原価率35%
客数70人×単価3,800円=売上266,000円×原価率35%=粗利172,900円
しかし実績は落ち込み、目標からかけ離れていきます。
客数50人×単価3,500円=売上175,000円×原価率38%=粗利108,500円
はて?どうしてこのような流れになってしまったのでしょうか・・・その時はその時で必死にやっていたつもりですが・・・原因をロジカルに検証してみます。
来店客の構成が想定以上に変わってしまっているのに、最重要プロセスと数値目標の設定が適正でなかったことが考えられます。原価率を低めに設定できる宴会客が0に、常連客比率が高くなったことなどで単価が下がり、加えて原価率が高いおすすめメニューが出る比率が極端に上がったことが要因で、客数、売上が落ちてもコントロールしなければいけないはずの原価率は想定よりも悪化しています。
それには「現場スタッフの危機感」が関わっていました。「何とか今来ていただいているお客様だけは逃がしてはいけない!目の前のお客さんを満足させよう!」とする意識です。飲食店の現場は過去から現在、明日へと絶え間なく続き、特に当店は、いわゆる「お客様が人(スタッフ)に付く」ことで成り立ってきました。現場スタッフは原価率を下げた料理を常連客に提供することなど、できるはずがないのです。現場スタッフが一生懸命、決められた通りに最重要プロセスに取り組んでいたわけです。
その結果、原価率の数値目標はコントロールを失い、いつ終息するかもわからないコロナ禍の不安の波みにもまれながら、店舗経営は混迷を深めていきます。私(経営者)と従業員の非常事態における意識のずれを感じるシーンも重なり、自ずとミーティングでの私の言葉には力が入り、その後、店長裁量の現金仕入の制限など制圧的な対策をとっていきます。最終的には他の店舗との統廃合へと突き進んでいくことになります。
大きな反省・・・
それは、経営環境が変わった時に、適切な「最重要プロセスと数値目標の設定」ができなかったことです。
常日頃からどんな状況下にあっても、足元を正しく把握し先を予測し、その精度を上げる取り組みが足りていない、私がやってきたレベルでは危機に通用しなかったことを証明しています。これは「オリンピック競技でルールが変わっているのに新ルールへの対応が不足したまま演技しているようなもの」で、メダルどころの話ではないのと同じです。私自身の管理、事務能力に過信があったと言わざるを得ません。
数値管理力を磨き続ける
私たちは、最重要プロセスを導き出し、最重要プロセスの目標数値を正しく設定して、この数値を達成することで、最終ゴールの目標数値に到達すると考えます。
これは、経営管理の手法「KPIマネジメント」として体系づけられています。KはKey、PはPreformance、 IはIndicator ⇒「事業成功の鍵となる数値目標」を意味しています。「現在」があって、目標とする「ゴール」との間の「プロセス」を管理する考え方で、プロセスの業務の中から、最も重要なプロセス(=事業成功の鍵)を見い出し、事業成功の鍵を測る指標が、目標数値(=KPI)になり、KPIを実現することで、ゴール(最終的な目標数値)へ向かうことが出来るというスキームです。
目標管理、プロセス管理の手法は「KPIマネジメント」の他にもありますので、あなたに、あなたの事業に適した手法を取り入れ運用していきましょう。あなたの事業のパフォーマンスを最適化するためのプロセス管理に、数値目標を正しく活用していくことが、「事業を成功させる鍵」となることを、お伝えしたいと思います。
もうあって欲しくありませんが、これからもパンデミックは発生するでしょうし、天災は忘れたころにやって来る、〇〇ショックの経済危機も繰り返し襲ってきます。危機に備える意味で、日々の数値目標管理力を徹底して磨き続けて欲しいと思います。それは今あなたの事業が上手くいっている場合もです。好調ならばその精度をさらに上げ、もっと高いゴールを設定できるかもしれませんし、稼げるときには稼いでしまうことも大切です。
PrePoはあなたの事業のプロセス管理、「事業成功の鍵」へのアプローチをサポートさせていただきます。
5.融資は投資と心得よ
資本は稼動させるためにあり、何かを成し遂げるために使われなければならない。
ピーター・ドラッカー
カリスマ社長の不思議な会議
なぜ「融資は投資」なのか、まずは2つのエピソードをお話しします。
私が20年間勤めた事業グループの創業者は一代で全国規模の事業を築いた、時代の寵児とも評されるカリスマ経営者でした。私は入社して数年後、社長室の会議に参加するようになり、そこに並べたられたホワイトボードには事業部門ごとの損益の実績と先のシュミレーションした数字が整然と並んでいます。それを眺めながら、社長のレクチャーが延々と続くのですが、そこには借入金の金利は計上されていますが、なぜか返済の記載はありません。社長の口からも返済の話はいっこうに出てきません。当時の私は会計の知識が乏しかったと思いますが、借金の返済が出てこないのはおかしいね?なぜだろう?借入金は返さなくていいのかな?と同僚と話したものです。今、自分で会社を経営してきた私は、その答えを理解しています。あなたはどうですか、なぜだかわかりますか?
コロナ融資はお守り?
2つ目のエピソード、これも私の実体験です。
あなたはコロナ禍をどのように過ごしていましたか?
私は、創業から16年目を迎え、前年の2019年には意気揚々とこれまでで最高の売上を達成していました。しかし私の事業はコロナ禍にじわじわと飲みこまれ、別の不運も重なり、破産へ一気に舵を切ることになります。今振り返るとあっという間の3年間です。
コロナ禍の波が収まりそうで収まらないを繰り返す中で、私にも救いの手が差し伸べられました。事業の規模や実績に応じた助成金の支給です。これまで頑張ってきた甲斐もあり、いただいた月は赤字でなくなるので助かりました。しかも「助成金」は返済の必要のないお金です。さらに金融機関からは前年まで黒字だった私に「お守りに」と、市や県の制度融資を限度額いっぱい借りるよう提案してきます。いわゆるゼロゼロ融資で、返済猶予期間も設けられています。危機感を背にした私は一時多額の現金を手にすることになります。その資金を活用したコロナ禍を泳ぎ将来を見据えた新規事業への模索や、組織の再編などを計画しもがきましたが、付け焼刃の計画は多くの無理もあったのでしょう、有効な事業の再構築は着手できず、マイナスの蛇口を閉めるばかりで結局のところ、お守りはいつしかむすびが解かれ会社を維持するために、シャボン玉のようにあっという間に消えていきました。
融資は投資、黒字のために
「投資」という言葉を辞書で引くと、「利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下すること。転じて、その将来を見込んで金銭や力をつぎ込むこと。」とあります。融資されたお金は、投資に回されることにより、新たな利益を生む可能性につながりますが、融資を赤字の補填に使ってしまった場合は、新たな利益を生む可能性がないので、返済に追われ、破産への道へ進む可能性が高まります。
平時、融資を受けられる条件は、事業計画だけで可能なのは創業時だけで、黒字の実績が主な条件です。さらに黒字であり続けられれば、融資を受け続けることが可能になる、と言うことになります。
損益が黒字で一定のキャッシュが出ていれば、借りたお金は、返すけれどまた借りることが出来る訳で、「借りたお金を返すことは考えなくても良い⁈⇒借りたお金は返さない」と言うちょっと不思議⁈な見方が成り立ちます。
事業を右肩上がりに拡大、持続する経営は、融資を受け続けられる経営であり、先述のカリスマ社長は、金利は増えるものの借りたお金を返さない計画をシュミレーションしていたために、返済の話が出てこなかった理由はそこにあると考えます。時代はインフレ、土地神話のバブル期が背景にあります。
一方私は、非常事態のコロナ禍とは言え、融資を黒字を生むことに回せなかったことで、破産の道へ進んでしまったわけです。でも、どうでしょう、語弊がありますが、結局のところ私も借りたお金を返していないのです・・・
あなたの考え方や事業によっては、無借金や資本を必要としない事業であるかもしませんが、融資を上手に活用しながら事業の規模を大きくしていきたいと将来を思い描いているのであれば、果敢に「借り続けられる経営」を目指すことになります。
過の日、カリスマ社長が私たちに数値目標をホワイトボードに書かせていたのは、借り続ける経営の勘所を教えようとしていたのだと振り返ります。当時聞いた話ですが「カリスマ社長は、社長室会議で私たちに話されるのと同様に、金融機関へ出向いても話されていた」そうです。それは金融機関が融資しし続けられる経営を常にシュミレーションしていたのだと言い換えることが出来そうです。
それと、コロナの禍のような危機が、将来あなたの身に迫ってきた場合にどう対処するかです。あなたの事業をどう守り持続させていくのか、その時経営者としてどのような判断、決断、行動をとるべきか、ベターな選択ができるよう、日頃から学習し準備できることはしておきたいものです。
6.個人保証は自己破産のパスポート
失敗することを恐れるよりも、真剣でないことを恐れたい。
松下幸之助
破産会社の7割で、社長個人も破産へ
例)創業したての社長さんに、銀行の担当者から電話が入ります。
「社長、融資の決裁がおりました。書類をお持ちしますので署名押印をお願いします。」その後、社長さんは、沢山の書類に勢いよくサインしていくわけですが、その中に社長個人が保証人になることを同意する書類が一枚含まれています。でも融資を受けられる安堵感からでしょうか、特に何も思わず作業が進み、書類の文言を事細かく読む事もしません。会社がつぶれたら自分も路頭に迷うことになる、大変な契約をしていることなど、その時は思いもしないものです。銀行の担当者も、そんな大変な契約をしていることなどみじんも説明してくれません。社長さんはこの時、融資と引き換えに、「自己破産へのパスポート」を取得したことになります。
借入の金額がまだ少ない時には返済の算段が付いていて、個人保証への不安はありませんが、自助努力では何ともしがたいコロナ禍のようなことも起きます、小さな会社の経営者は個人保証によって大きな重荷を背負うことになります。そしてパスポートを使う日が来ることも・・・
これは2021年8月、東京商工リサーチの調べによる記事の冒頭の文章です。
会社が破産すると、社長の約7割が個人破産に追い込まれている。政府は経営者保証の解除を進めるが、金融機関からの新規融資の6~7割に経営者保証が付いている。2020年度に破産した5,552社のうち、3,789人の社長が破産開始決定を受け、社長破産率は68.2%の高率に達したことがわかった。
あなたはこの数字をどう受け止めますか?会社が破産すると、社長の約7割が個人破産、パスポートを使用しています。
さらに記事では、「個人保証(経営者保証)なし」が進まない状況を分析し、今後「経営者保証なし」を進めるために経営者に求められる点を下記の通りまとめています。
政府は経営者の早期事業再生などを支援するため、「経営者保証に関するガイドライン」を策定し、経営者保証の弊害解消を進めている。金融庁や中小企業庁によると、2020年度に実行された新規融資で経営者保証に依存しない融資は、政府系金融機関が38%(2017年度34%)、民間金融機関は27.2%(同16.5%)にとどまり、いまでも新規融資の6~7割では代表者の個人保証が条件になっている。
これまでの担保や個人保証に依存した貸出で、「経営者保証なし」では資金調達が難しく、必要な借入額を調達できないことが多い。金融機関は債権保全リスクを前提に、保証が厚いほど多くの資金融資が可能だ。一方、社長は借入負担は増しても、必要額を調達できるメリットは大きく、経営者保証の解除に向けた取り組みのバランスは難しい。
経営者保証を減らすには、金融機関の努力だけでなく、社長も会社の財務健全性や将来価値を高め、社長個人と会社の資金の流れを厳格に区分することが求められる。ただ、長引くコロナ禍で過剰債務に陥った企業も増えており、今後はさらに社長の破産率が上昇することも危惧される。
この現状に対して国(経済産業省)は経営者保証に関する支援策として、上記記事にあった「経営者保証に関するガイドライン」以降、関連施策を進めているようです。
*2013年12月:経営者保証に関するガイドライン 中小企業庁HP
*2022年12月:経営者保証改革プログラム 経済産業省HP
*2024年3月:スタートアップ創出促進保証 中小企業庁HP
*2024年3月:保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度 中小企業庁HP
事業展開のシュミレーション
このように、今後日本では資金調達において「個人保証なし」の割合が増える傾向にはあるのは一般論としては間違いないようですが、現実問題として、自社の融資が「個人保証なし」にしてもらえるのか、該当するために求められている条件や課題がクリアできているのかどうかなど、常に最新の情報をウォッチしながら、戦略的に会社の会計を行い、上手に金融機関と対峙していくことが求められそうです。
そこで、あなたが今後、自己破産へのパスポートを手にする事業展開を選ぶのか選ばないのか、すでに手にしているのならどうしていくのか、この先の事業展開を、真剣にシュミレーションして欲しいと思います。
最近の創業塾では、「できるだけお金は使わない、できれば人は使わないところからリスクは最小に抑えててスタートしましょう・・・」のような指導がされているようです。
それもそのはずです、足元を見れば人手不足の上に、アルバイトを雇っても時給は1000円以上、原材料の値段は高くなる一方、生産性や付加価値を上げられなければ、どうやって利益を出せるのでしょうか?しかも金を借りれば個人保証付きとなれば、事業は夢や希望だけで突っ走ることはできません。創業を促す側も、多くの失敗者を輩出するわけにはいかないので、まずは小さく始めることを薦めるのもうなずけます。
小さな会社・個人事業の経営者の皆さんには、失敗を恐れ過ぎず、正しい知識と最新の情報を理解し、準備は怠らずに、果敢に挑戦していただきたいものです。ご縁があれば、PrePoが真剣にサポートさせていただきます。
破産は±0からの再スタート
最後に私自身の経験を付け加えます。パスポートを使って破産しても、それで全ておしまいではありません。破産の手続きは、法律が定めた「再生への新たなパスポート」を手にするための作業です。滞りなく手続きが淡々と進むと免責が決定、「借りたお金は返さなくていいですよ」と言う国の判決が下されます。そして、マイナスからではなく、0から再スタートできるチャンスをいただけます。
だから、安心して挑戦しましょうとは言えませんが、覚悟を持って誠実に真剣に経営に取り組んでいきましょう。
7.サードオピニオンを持とう
リスクとは、自分が何をやっているか分からない時に起こるものだ。
ウォーレン・バフェット
聞いてもらうことの効果
あなたも、人に話を聞いてもらうことの大切さを、実感された経験があると思います。私もそうでしたが、自分の思いを誰かに聞いてもらうだけでも、悩みが整理されて気分もずいぶん楽になったりするものです。その効果は下記のようなものがあるとされています。
○カタルシス効果
溜まっていた感情やストレスを言葉にして表現することで、心が軽くなる効果です。誰かに話を聞いてもらうことで、悩みや怒り、悲しみといった感情を解放し、精神的な解放感を得られます。これは、感情を抑圧せずに外に出すことで、内面的な緊張や不安を軽減する手段となります。
○バディ効果
共感やサポートを提供する相手がいることで、自己肯定感や安心感が高まる現象です。話を聞いてくれる人がいることで、自分は一人ではないと感じ、心の支えを得ることができます。特に、悩みや問題を共有することで、孤独感が軽減され、心理的な安定を促します。
○アウェアネス効果
他者に話をする過程で、自分自身の感情や考えに気づくことができる効果です。自分の思考や感情を言葉にすることで、これまで意識していなかった問題や解決策が明確になり、新たな視点を得ることができます。これにより、自己理解が深まり、問題解決への意識が高まります。
○バランス効果
他者との対話を通じて、感情や考えのバランスを取り戻す効果です。話を聞いてもらうことで、偏った視点や過度な感情を調整し、より客観的で冷静な判断ができるようになります。これは、他者からのフィードバックや新しい視点を取り入れることで、自己の見方を調整することが可能になるためです。
○リフレクション効果
他者に話すことで、自分の経験や感情を振り返り、より深く理解することができる効果です。これは、自己内省を促進し、過去の出来事や感情を整理することで、将来の行動や決定に役立てることができます。
○レゾナンス効果
他者に共感を得ることで、感情的な共鳴が生じ、ポジティブなエネルギーが増幅される効果です。特に、感情や経験を共有する相手が同じような経験を持つ場合、その共感が強まり、自分の感情や思いがより深く理解されることで、心の安定や安心感が高まります。
経営者はこれらの効果を得ることで、心理的な健康を維持して、より健全な事業運営を展開するための心のベースを整えることが出来ると思います。
納得感で決めていませんか?
私の両親は既に他界しているのですが、父の葬儀を母に代わり私が執り行うことになったときのことを話させていただきます。私は大学進学から生家を離れていましたので、故郷での葬式がどんなものか、見たことも参列したことも情報もなく、全く想像がつきません。初めにビックリしたのは、病院から父の遺体と一緒に生家に帰ったときです。誰もいないはずの家には明かりが灯っていて、近所の女性方が台所でお茶の準備をしていたことです。しばらくすると何となく見覚えのある隣組の人たちが居間に集合、私は挨拶をするよう促されます。「右も左も分かりませんが、皆さんどうぞよろしくお願いします。」と短く終わると、葬式への段取りがこの地区のしきたりなのでしょう、かってに進んでいきます・・・その流れの中で私にはいくつか判断が求めれます。中でも一番困ったのは、戒名の文字数とお布施の金額です。お通夜まで数日あったので、その間に訪ねて来る近所の人達との話題でも「○○さん家は○○だから、このくらいじゃないの・・・」と皆さん思い思いのことを話されます。誰かにどうしたら良いか聞いてみたいと思いましたが、何かそれぞれに思惑もあるよう?で躊躇しました。困った私は、直接お寺へ出向き住職に相談してみましたが、ここでも煙に巻いたような話でどうすべきか整理できません。そこで私は判断を下すためのルールを決めました。「分からないことは考えても仕方ない、自分が納得いくかいかないかの感覚で判断しよう」というものです。この基準を拠り所にして何とか葬儀を終えることが出来ました。これで良かったのかな?周りの人はどう見ていただろうか?数日後、幼馴染の父親から「葬式良かったよ!」の言葉をいただいたとき、私はホッとしたのと同時に少々自信がついたような気分になりました。
なぜこんな話をしたかと言いますと、
私のこの時に得た妙な感覚が、「糧」となってしまい後々の判断ミスの原因になっているのでと思っているからです。
ここで、ChaGPTに聞いてみましょう・・・経営者が自身の納得感で状況判断や経営決断をすることは良いことでしょうか?
(答え)
経営者が自身の納得感で状況判断や経営決断をすることは、場合によっては良い結果をもたらすことがありますが、慎重なバランスが必要です。納得感というのは、経営者が持つ経験や直感に基づく判断力であり、迅速な決断が求められる場面や、従来のデータや分析だけでは解決できない問題に対して有効です。
ただし、以下の点に留意する必要があります。
1.データとのバランス:納得感だけでなく、データや分析を基にした客観的な情報も考慮することが重要です。感覚に頼りすぎると、思い込みや偏見による誤判断のリスクがあります。
2.多様な意見の尊重:経営者の納得感だけでなく、他のメンバーや専門家の意見を取り入れることで、より多角的な視点からの判断が可能になります。これにより、経営決断がより確実なものとなるでしょう。
3.状況に応じた柔軟性:経営環境は常に変化するため、納得感だけに固執せず、新しい情報や状況に応じて決断を見直す柔軟性が必要です。
総じて、経営者の納得感は重要な要素であるものの、それに過度に依存することなく、他の情報や意見と組み合わせてバランスの取れた判断を行うことが理想的です。
ん、なるほど、おっしゃる通りだと思います。
納得感をに偏った判断はとっても危険だと言うことです。業績も気持ちも乗っているときならまだしも、ピンチの場面やリスクへの対応で「自分は危機を事前に察知する能力がある!」的な根拠のない自信も同様に考え物です。
私たちは日頃からどんな時でも事業運営、経営判断に際し、周りの人たちの話をよく聞くことを習慣化し、加えて「第三者」の意見に耳を傾けることも大切でだと思います。利害関係者(ステークホルダー)からの話では、時に「納得感」に逃げ込むことでバランスを失ってしまうことを私は痛感しているからです。
利害関係のない第三者
掲題の「サードオピニオン」を定義する前に、「セカンドオピニオン」についてです。これは、患者が自身の病気や治療方針について、主治医以外の医師から別の意見を求めることを指す主に医療の現場で使われる言葉ですが、これをPrePo目線で経営者にあてはめてみます。
あなたの会社や事業における「主治医」はあなた、経営者自身だと思います。なぜならば、実際にメスを入れられるのは。経営者であるあなたしかいないからです。あなたに意見が言える主治医以外の医師が「セカンドオピニオン」ですから、先にお話したあなたの周りの人たち、利害関係者(ステークホルダー)がそれにあたります。顧問の税理士、社労士や弁護士さん、金融機関や商工会議所の担当者、お取引先の方やスタッフ、お客様や友人、家族も時としてその役割を果たします。
では、こんなにあなたの周りには、あなたに、あなたの事業に係る人が大勢いるのに、「経営者は孤独」と言われるのはなぜでしょうか?
あなたも孤独感を感じていますか?
私は理由をこう考察します。
ここで言う「セカンドオピニオン」の人たちは、それぞれに所属や立場かあって、「あなたのことを考えて話しています」とは言うものの、あなたとは別の角度から見ての発言をされていることもしばしばです。それはそれで必要ではありますが、私たちは「所詮みんなは経営者ではないからなー」と「孤独感」を感じるのではないでしょうか。例えば、銀行は「雨が降ったら傘は貸さない」、士業の方とは「誰の味方?」、仕入先とは「結局そちらが売りたいものを持ってきているだけでしょう?」、スタッフとは「それ!働き方改革?」のようになり、油断も隙もあったもんじゃない・・・こうして経営者は常に孤独感を感じる職業になる訳です。
私は小さな会社・個人事業の経営者が「話を聞いてもらえる」「納得感に偏り過ぎない判断ができる」健康で健全なリーダーでいるためには、「セカンドオピニオン」の皆さんの活躍も勿論なくてならないものですが、少し別のポジションの存在が必要ではないかと考えます。あなたと同じテーブルに座って、あなたの話を聞く、あなたに話をする、利害関係のない「第三者」、これが私の提言する「サードオピニオン」です。
今や、経営者はやらなければいけない課題や学びたい情報が増えることはあっても少なくなることはない時代です。かといって、簡単に人任せにしてしまうわけにもいきません・・・あなたにはこれから事業の成功へ向かってできるだけ毎日心穏やかに、無駄な時間と余計な失敗は避けて歩んでいただきたいと願います。「サードオピニオン」ぜひあなたの経営にプラスしてはいかがでしょうか。なお、PrePoがあなたの「サードオピニオン」に適していたら幸いです。
おわりに
7つの提言、いかがでしたか?
表現の随所に、偏った見方や、適切とは言えない文言もあったっと思いますが、あなたにどこか響くところがあれば幸いです。
この文章には、先や横、後ろにこの場では表現しにくい、私の本音も隠れています。機会があれば直接お話しできることを楽しみにしています。
また、時代の流れは速いものです。
私が社会に出たときは「トレードオフ」(何かを選ぶ際に、他のものを犠牲にする)の考え方が主流でしたが、今は対照的に「トレードオン」(ある選択や行動が複数のポジティブな結果を同時に引き出す)に変わってきています。
それは、経営者にとっては、複雑な方程式を解くことが求められている時代です。「自助、互助、共助、公助」と4つに分けて考えてみると、「互助と共助」の築き方が大切ではないでしょうか。
それでは、あなたの事業が成功することを願って・・・
成功する人は、失敗から学び、
別の方法でやり直す。
デール・カーネギー